私の住む地域(神奈川)ではソメイヨシノが桜吹雪になる頃、八重桜が咲き始めます。何枚も重なった花びらは、ふんわりと優しく落ち着いた様子。心和みますね。
八重桜(牡丹桜)の開花はソメイヨシノの後
散歩道では八重桜が満開でした。私の地域では一重の桜が咲き終わった頃に咲き始めます。
灯油配達が終わっていない肌寒い時期に河津桜が咲き、ダウンやコートを片付けようかな・・・と思う頃にソメイヨシノが咲き、ぽかぽか陽気になったら八重桜という感じ。
八重桜とは「6枚以上」花びらをつけるものをさすようですね。そして、よく見ると葉が沢山ついていて、おや?と思いましたよ。
八重桜は葉をつけてから開花する?
河津桜やソメイヨシノなどの一重の桜は、花が咲いてから葉が出てくるんですよね。それに気が付いたのは押し花を習っているときです。枝には葉がほとんどなくて、作品を作るときに困ったのです。長い間桜をみていたのに気付きませんでした。
一方、八重桜は葉が出てくるのが早い。気付いたときには葉も花も一緒に出ていました。ひょっとしたら葉が先に出ているのかもしれません。
木を成熟させるのに葉の光合成は欠かせませんから、葉の出てくる時期にも意味があるのでしょうね。
八重桜は塩漬け向き!お祝いにぴったり
出典:ほんぢ園|桜茶
桜茶を飲んだことありますか?あれも八重桜ですよね。お湯の中に入れると、ふわ~っとすこしずつ花びらが広がって綺麗。ほんのりと色がついて香りがしてきます。一重ではこうなりません。
現在まで伝わって良かったと思うお茶のひとつ。一口含ませて春の風を感じるとき、昔の人は何を思ってきたのでしょう。季節を大事にしていたんだなぁとしみじみ。
<八重桜(牡丹桜)>
(4月上旬 横浜市)
[花言葉]豊かな教養、善良な教育、しとやか
[開花時期]4月~5月
[形態など]高木
※花言葉は色や種類で違います。ここでは代表例を記載しています。
(4月上旬 横浜市)
(4月上旬 横浜市)
古くから愛されている八重桜の和歌
八重桜を眺めていて、ふと思い出したんですが。
私は以下の百人一首ハンディブックを持っています。オールカラーでポケットサイズ。ちょっとした待ち時間や旅行に持っていっても楽しい。海外の方へのお土産にもおすすめですよ。300円前後です。
その中に八重桜に関する和歌があります。(上画像の右側)
いにしへの 奈良の都の八重桜 けふ九重に にほひぬるかな(伊勢大輔)
「遠い昔、奈良の都の(平城京の花とされたいた)八重桜が、今日は九重(平安宮中)の中でひときわ美しく咲き誇っている」という意味。
「いにしえ」とは、過ぎ去った昔のこと。「にほひ」は、香りの他に美しさも表しています。
春の風に揺れる八重桜の景色が浮かびますね。今も昔も変わらない美しさが伝わってくる。実はこれ、伊藤大輔が大勢の前で即興で詠んだものなんですよ。
紫式部が役目を譲ったことで生まれた句
遠い昔、奈良の八重桜を京都の宮中へ献上することになりました。桜を受け取る役目にあったのは紫式部でしたが、若い人にと伊勢大輔に譲ります。
そのとき、黙って受け取るものでは無いと、藤原道長から歌を詠むよう言われ、即興でこの歌を詠んだそうです。
大勢の注目を浴びる中、さっとこの和歌を詠んだわけですよ。現在の社会人にも通じる緊張感と空気感を感じます。突然に会議で意見を求められるようなあの感じでしょうか。
桜の献上ですから、着物もさぞ美しかったでしょうね。